テレビシリーズ序盤(まどかが契約を迷い続ける場面)の場面に触れます。ネタバレを含みます。
魔法少女まどか☆マギカで心が動いた場面を聞くと、物語の序盤、まどかが契約を迷い続けるところを挙げる人がいます。ただ、同じ場面を挙げた人でも、止まった位置は同じではありません。
迷っているまどかで止まる人もいれば、その隣で、魔法少女として戦う先輩の背中を見ていたところで止まる人もいます。
どんな願いでも一つ叶える。そのかわりに魔法少女になって戦う。そう持ちかけられて、まどかはすぐには答えません。ここはよく「まどかが煮え切らない場面」として語られます。見ている側がもどかしくなるのも、無理はありません。
けれど、まどかは怖がって逃げていたわけではありません。叶えたい願いが、自分の中に見つからなかったのです。自分のための願いが浮かばない人は、願いを持っている人より先に進めません。迷っていたのは度胸ではなく、願いの置き場所のほうでした。
まどかが口にするのは、大きな夢ではありません。自分には取り柄がない、誰かの役に立てたらうれしい。そのくらいの、小さな言葉です。
この小さな言葉に止まる人は少なくありません。 取り柄がないと思っている人ほど、役に立つことで自分の居場所を確かめようとします。まどかの迷いに自分を重ねる人は、彼女の優しさより、その奥にある「自分には何もない」という感覚のほうに覚えがあるのかもしれません。
戦う魔法少女の姿を、まどかはすぐそばで見ています。かっこよく、頼もしく、迷いのない背中です。
迷いのない人のそばにいると、迷っている自分が遅れているように感じます。 本当は、迷うことはおかしくありません。けれど、隣に答えを持った人がいると、答えを出していない自分のほうを責めたくなる。この場面で胸が苦しくなる人は、まどかではなく、その「急かされる感じ」のほうに止まっています。
同じ序盤の場面を思い出しても、残っている一点は人によって違います。
答えを出せずにいるまどかの顔で止まる人。「誰かの役に立ちたい」という小さな言葉で止まる人。迷いのない先輩の背中で止まる人。まどかが選ばずにいることを、黙って見ていた誰かのほうで止まる人。
作品の評価が分かれているのではなく、ふだん何を見て生きている人かが分かれているだけです。 理由を説明する必要はありません。浮かんだ一場面が、そのままあなたの答えになります。
この場面で息を止めたということが、あなたの何を指しているか。
そこが分かれるところに、あなたの性格が出ます。
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