テレビシリーズ第1話(転校してきたほむらが、まどかに忠告する場面)の場面に触れます。ネタバレを含みます。
魔法少女まどか☆マギカで心が動いた場面を聞くと、第1話で転校生のほむらがまどかに忠告する場面を挙げる人がいます。ただ、同じ場面を挙げた人でも、止まった位置は同じではありません。
冷たい言い方で止まる人もいれば、初対面のはずの相手に、なぜそこまで言うのかという引っかかりで止まる人もいます。
転校してきたばかりのほむらは、保健室へ案内する途中の廊下で、まどかに家族や友だちを大切にしているかと尋ね、今とは違う自分になろうとしないほうがいい、という意味のことを告げます。ここはよく「ほむらが冷たくて怖い場面」として語られます。初めて見たとき、そう感じた人も多いはずです。
けれど、冷たい人は、初対面の相手にわざわざ忠告をしません。突き放す言い方なのに、言っている中身は「あなたが今持っているものを手放すな」です。 言葉の温度と、中身の向きが逆になっている。この場面に引っかかる人は、そのずれに気づいています。
ほむらは、なぜそう言うのかを説明しません。まどかは、わけも分からず、ただ怖い転校生として彼女を受け取ります。
理由を言わずに止めようとする人は、たいてい、言えない理由のほうを抱えています。 言えば分かってもらえるかもしれない。けれど言えない。だから結論だけを、強い言葉で渡すしかない。この場面でほむらの側に止まる人は、そういう伝え方しかできなかった経験に、覚えがあるのかもしれません。
まどかにとって、ほむらの言葉は意味の分からない警告でした。それでも、忘れることはできません。わけの分からない言葉ほど、あとで何度も思い出すことになります。
分からないまま覚えている言葉が、人には一つや二つあります。 そのときは意味が取れず、ずっとあとになって、ふと腑に落ちる。この場面で止まる人の中には、ほむらでもまどかでもなく、その「分からないまま覚えている感じ」のほうに反応している人もいます。
同じ第1話の場面を思い出しても、残っている一点は人によって違います。
ほむらの冷たい声で止まる人。家族や友だちのことを尋ねた、その問いで止まる人。わけも分からず立ちすくむまどかで止まる人。初対面のはずなのに、という引っかかりで止まる人。
作品の評価が分かれているのではなく、ふだん何を見て生きている人かが分かれているだけです。 理由を説明する必要はありません。浮かんだ一場面が、そのままあなたの答えになります。
この場面で息を止めたということが、あなたの何を指しているか。
そこが分かれるところに、あなたの性格が出ます。
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