轟焦凍は、理由の書かれていない連絡で走った

TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』第2期 第29話「ヒーロー殺しステインVS雄英生徒」(保須市で、出久から届いた連絡を受けて轟が路地裏に駆けつける場面)の場面に触れます。ネタバレを含みます。

ヒロアカの保須市の夜、路地裏でヒーロー殺しと向き合う出久と飯田のもとに、轟が駆けつけます。ただ、この場面を挙げる人でも、止まった位置は同じではありません。

轟が現れた瞬間で止まる人もいれば、そもそも彼があの連絡で動いたことのほうで止まる人もいます。

頼まれたから、来たのではない

出久から届いたのは、助けてくれという長い文面ではありませんでした。場所が分かるだけの、短い連絡です。そこに理由は書かれていません。

それでも轟は、それを「何かが起きている」と読みました。説明を待ってから動くのではなく、説明が無いこと自体を合図として受け取っています。体育祭で、言葉より先に体を見せられて動いた人が、今度は自分のほうから、言葉の足りない連絡に体で答えています。この場面に止まる人は、「助けて」と言えない人の連絡ほど短くなることを、どこかで知っている人かもしれません。

来た側が、いちばん落ち着いている

路地裏に着いた轟は、取り乱しません。状況を見て、まず仲間との距離を取り直すところから始めます。

駆けつけた側が、いちばん冷静でいる。 助けに来た人が慌てていたら、助けを待っていた側はもっと怖くなります。轟の落ち着きは、性格の冷たさとして語られがちですが、この場面ではそれが、そこにいる全員の足場になっています。この場面で胸が動く人は、熱い言葉よりも、ぶれない人が隣に立った瞬間に救われてきた人です。

戦っている相手より、隣の一人を見ている

この夜、飯田は兄のことで頭がいっぱいで、自分を見失いかけていました。出久と轟は、目の前の敵と戦いながら、同時に、隣で倒れている友人がどこへ向かおうとしているかを見ています。

勝つことと、友人を連れ戻すことは、同じ戦いの中で別々に進んでいます。どちらに目が行くかで、この場面の見え方は変わります。ヒーロー殺しの強さに目が行く人と、飯田が立ち上がるまでの時間に目が行く人がいます。

あなたが止まったのは、どこでしたか

同じ保須の夜を思い出しても、残っている一点は人によって違います。

短い連絡を受け取った瞬間で止まる人。轟が路地裏に現れた瞬間で止まる人。駆けつけた側の落ち着きで止まる人。隣で倒れていた飯田のほうで止まる人。

作品の評価が分かれているのではなく、ふだん何を見て生きている人かが分かれているだけです。 理由を説明する必要はありません。浮かんだ一場面が、そのままあなたの答えになります。

この場面で息を止めたということが、あなたの何を指しているか。
そこが分かれるところに、あなたの性格が出ます。

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