ヒンメルは、自分がいなくなったあとの時間を数えていた

第7話(旅の途中で、ヒンメルが各地に自分の銅像を建てさせていた理由を話す場面)の場面に触れます。ネタバレを含みます。

葬送のフリーレンでは、旅をした先々にヒンメルの銅像が建っています。目立ちたがりの勇者らしい、と笑われそうな話です。けれど第7話で、ヒンメルはその理由を話します。銅像は、未来のフリーレンのためのものでした。

この場面を挙げる人でも、止まった位置は同じではありません。理由そのもので止まる人もいれば、それを笑い話のように言ったヒンメルの言い方で止まる人もいます。

覚えていてほしかったから、残したのではない

ヒンメルの銅像は、よく「ナルシストな勇者の見栄」として語られます。本人もそう見えるようにふるまっています。

けれど、彼が数えていたのは、自分が生きている時間ではありませんでした。自分がいなくなったあと、フリーレンが一人で歩く時間のほうです。長く生きる仲間が、いつか一人になる。そのときのために、先に何かを置いておく。この場面に止まる人は、自分のことより、残される側の時間を先に考えてしまう人なのかもしれません。

大事なことを、軽い顔で言う

ヒンメルは、この理由を重々しくは話しません。いつもの調子で、さらりと言います。

本気のことほど冗談めかして言う人がいます。 重く言えば、相手に背負わせてしまうからです。この場面で胸が動く人は、言われた中身より、その軽さの裏にあった気づかいのほうに目が行く人です。

先に気づいていた人と、あとから気づく人

第1話で、フリーレンは葬儀のあとになってからヒンメルを知ろうとし始めます。けれどヒンメルのほうは、旅のあいだにもう、フリーレンの時間の長さに気づいていました。

二人の差は、愛情の量ではなく、気づいた時期の違いです。 先に気づいた人は、黙って手を打っておく。あとから気づいた人は、その手がかりをたどって歩く。どちらに寄るかで、あなたが大事な人に何をしてきたかが分かれます。

あなたが止まったのは、どこでしたか

同じ銅像の場面を思い出しても、残っている一点は人によって違います。

未来のフリーレンのため、という理由で止まる人。それを笑い話のように言った顔で止まる人。旅の先々で銅像を見上げるフリーレンの姿で止まる人。言葉にせず先に手を打っていた、という順番で止まる人。

作品の評価が分かれているのではなく、ふだん何を見て生きている人かが分かれているだけです。 理由を説明する必要はありません。浮かんだ一場面が、そのままあなたの答えになります。

この場面で息を止めたということが、あなたの何を指しているか。
そこが分かれるところに、あなたの性格が出ます。

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