第1話(裏切られて命を落としたデンジに、ポチタが自分の心臓を差し出す場面。始まりの前提の範囲)の場面に触れます。ネタバレを含みます。
チェンソーマンの第1話で、デンジは呼び出された先で裏切られ、命を落とします。そこでポチタは、自分の心臓を差し出す代わりに、デンジの夢を見せてほしいと願います。こうしてデンジは、チェンソーの悪魔の力を持ってよみがえります。
この場面を挙げる人でも、止まった位置は同じではありません。変身の迫力で止まる人もいれば、ポチタが求めたものの静かさで止まる人もいます。
この場面はよく「主人公が力を手に入れる誕生の瞬間」として語られます。物語の仕掛けとしては、その通りです。
けれど、ポチタが代わりに求めたのは、力でも見返りでもありませんでした。デンジがふつうに暮らす夢を、そばで見ていたい。 この場面に止まる人は、自分のために何かをされるより、誰かの望みを本気で預けられることの重さに、覚えがあるのかもしれません。
デンジの夢は、人に話せば笑われそうなほど小さなものです。それでもポチタは、それを見たいと言います。
小さな望みを馬鹿にせず、見たいと言ってくれる相手がいるかどうかで、人は生き方を変えます。 この場面で胸が動く人は、変身の派手さより、望みを肯定された一瞬のほうに目が行く人です。
これまでデンジは、ポチタと二人で、その日をしのいできました。よみがえった後は、ポチタの心臓を胸に抱えて生きることになります。
誰かと交わした約束を、自分の体ごと持って歩く。 この始まりに止まる人は、いなくなった誰かとの約束を、今も自分の中で守っている人かもしれません。
同じ始まりの場面を思い出しても、残っている一点は人によって違います。
裏切られた理不尽さで止まる人。ポチタが求めたものの静かさで止まる人。よみがえった瞬間の迫力で止まる人。小さな夢を見たいと言われたことで止まる人。
作品の評価が分かれているのではなく、ふだん何を見て生きている人かが分かれているだけです。 理由を説明する必要はありません。浮かんだ一場面が、そのままあなたの答えになります。
この場面で息を止めたということが、あなたの何を指しているか。
そこが分かれるところに、あなたの性格が出ます。
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