ドラえもんの話をすると、道具の名前より先に、ある一つの場面を思い出す人が多くいます。その場面がどれかは、人によって違います。同じ道具が出てきた回でも、記憶に刻まれた瞬間は人によってばらばらです。
便利な道具が主役に見える作品ですが、記憶に長く残るのは、道具がうまく働かなかった回や、道具に頼らずに終わった回だったりします。この記事は一話ずつ選び、そこで胸が動いた理由を行動から確かめます。道具の名前は、覚えていなくても構いません。
多くの回は、道具が問題を解決して終わるのではなく、道具では解決できなかった部分をのび太自身がどう受け止めるかで終わります。便利さの外側にある部分こそが、記憶に定着していきます。困りごとが解けた瞬間より、解けなかった余白のほうが残ります。
どの回で気持ちが動いたかを見直すと、道具そのものより、道具が効かなかった瞬間のほうに残っていることが多いはずです。
未来から来たという設定は、笑い話に見えて、実は別れを先取りする仕掛けでもあります。いつか離れる日が来ることを、登場人物も見ている側も、うっすら分かった上でこの物語を見ています。
あなたの記憶にある一場面は、明るいものでしたか、それとも別れを予感させるものでしたか。浮かんだ絵が一枚あれば、もう十分です。
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<!--裏取り: https://shogakukan-comic.jp/book?isbn=9784091400062 / 小学館コミック公式ページ、てんとう虫コミックス『ドラえもん』第6巻の収録作品一覧に「さようなら、ドラえもん」(18話目)を確認-->