四月は君の嘘で心が動いた場面を尋ねると、演奏の場面より、その前後の何気ない会話を挙げる人が案外多くいます。止まった場面は、人によって違います。同じ演奏会の回でも、覚えている一言はそれぞれ別です。
音楽の物語でありながら、この作品は音そのものより、音が出せなくなった理由や、また出せるようになった理由に時間を割きます。この記事は旋律ではなく、その手前で交わされた一言のほうを拾い集めます。目指す先は「あなたの耳に残った言葉」です。
主人公にとって、ピアノの音が聞こえなくなる現象は才能の問題ではなく、ある出来事に体が反応した結果として描かれます。怖いのは音楽そのものではなく、音楽に結びついた記憶のほうです。音そのものは、ずっと変わらず鳴っています。
だからこの作品を読むときは、いつ弾けなくなったかより、いつ、誰の前でなら弾けたのかに注目したほうが、その人の性格に近づけます。
掛け合いのように軽い場面が多いこの作品ですが、その明るさは物語の後半で必ず裏返ります。軽く聞こえた一言が、あとになって重さを持って戻ってくる作りです。
あなたの記憶に残っているのは、明るい場面でしたか、それとも裏返った瞬間でしたか。どちらでも、思い出せた時点でこの記事の用は済んでいます。
---
---
<!--裏取り: https://www.aniplex.co.jp/lineup/kimiuso/story/?p=2 / 「最終話・第22話「春風」」「舞台に立っているのは、周りの人がいたから、支えてくれる人がいるから」と気づいた公生。すべての思いを演奏に乗せてかをりに届けます。-->